文章は「書く」ではなく「描く」もの。自分が伝えたいことをしっかりと文章で伝えるための文章術、『マジで文章書けないんだけど』(前田安正著)
文章を「書く」とは、物事を客観的に観察して、それを基にストーリーを「描く」もの。
そもそも人間とは、ある「状況」から「行動」をおこして「変化」する。そして文章とは、人間の思考にそって書かれるものだから、「状況」「行動」「変化」が入り混じるものとなる。
しかし、思考の組み立てを間違うと、SNSの文章のように「状況」の報告ばかりになってしまう。これでは本当に伝えたいことは伝わらない。
文章へと展開を促すための「なぜ」「どうして」の問いかけが必要。
文章は、つぎの流れで書いていく。
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まず、一つの文に一つの要素しかいれない。
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次に、一つの文を、箇条書きのようにどんどん書いていく。
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ここから、文と文をつないで、文章へと展開していく。
ここで必要なのが、文から文章へと展開を促すための、「なぜ」「どうして」という問いかけ。
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自分の文を客観的に観察して、「なぜ」「どうして」と問いかける。
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「なぜ」「どうして」を意識すれば、文章に「状況」「行動」「変化」と「5W1H」が入り混じる。
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読み手が「なぜ」「どうして」と思うところを書いておかないと、フラストレーションを生む。
文章を「書く」とは、物事を客観的に観察して、「なぜ」「どうして」と問いかける。それを基にストーリーを「描く」いてゆく。問いかけのなかで、イマジネーションをどんどん膨らませて、文章を描いていくのだ。
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本書はベテラン校閲記者による文章術。くだけたタイトルで、文体も軽く、イラスト満載の小さな本。でもその内容は、文章の基礎の基礎から、物事を客観的に捉えてストーリーを練り上げる文章術まで学べるもの。実践的なノウハウも多く、読んでよかったです。
マジ文章書けないんだけど ~朝日新聞ベテラン校閲記者が教える一生モノの文章術~
- 作者: 前田安正
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2017/04/19
- メディア: 単行本
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AI技術による産業革新のなか「人生100年時代」をどう生きるのか。その“道しるべ”となるのが『インプット大全』だ。
AI時代と人生100年時代がやってくる
■いま、AI技術による産業革新が加速している
まずは<合成頭脳>。典型例ではグーグルやフェイスブック、アマゾンなどで、膨大なデータの集積・分析により、巨大なサービスを作り上げる。つぎに<労働機械>。機械の知覚により、状況にあわせて動くことで、多くの仕事がこれに代替される。さらに<シンギュラリティ仮説>。AIの能力が人間を凌ぎ、機械的支配が進み、世界が変容すると予測する。
10年後、20年後には、日本の労働人口の49%が、AI技術やロボットなどで代替可能と推測される。「AI時代」の到来である。
■これに加え、わが国には、さらなる大きなインパクトがある
われわれ日本人は、ついに「人生100年時代」を迎えるのだ。厚生労働省の発表によると、2018年の日本人の平均寿命は男性81.25歳、女性は87.32歳で、いずれも過去最高を更新した。また、100歳以上の方も増加している。国際比較で見ると、日本女性は第2位、日本男性は第3位となる。
日本人の平均寿命は、健康意識の高まりや生活習慣の改善、医療水準の向上などで、今後も延びる可能性は十分にあるという。超高齢化社会の始まり、「人生100年時代」の到来である。
われわれには、AI時代と人生100年時代が到来する。この事実から、誰もが「将来への漠然とした不安」をもつであろう。しかしながら、われわれは意識を切り替え、時代の変化に適応するための「行動」にシフトするべきなのだ。
時代の変化に適応するための「行動」にシフト!
■「AI時代」に適応する「行動」
AI技術はデータの集積・分析など、測定が可能なものから成り立つものである。したがって、測定ができない部分が、人間が関わる部分となる。測定ができない部分とは、すなわち、創造力、直感力、センス、コミュニケーションスキルといった『人間力』である。つまり、「AI時代」には、これまでに測定ができなかったものや、点数がつけられなかったものに、価値が高まるのだ。したがって、『人間力』の強化がポイントとなる。
■「人生100年時代」に適応する「行動」
もしも、われわれが「人生100年時代」を前向きに生き、充実したものにしたいと願うのであれば、『自己成長』の実践が求められる。すなわち、自分の「今」の問題解決、「将来」の不安解消、そして、短所克服、長所伸長である。つまり、自分の「今」を、よりよく自己成長させていくことで、自分の「未来」も時代に適応し、充実した人生となるのだ。したがって、『自己成長』の実践がポイントとなる。
われわれは、時代の変化に適応するための「行動」によって、AI時代と人生100年時代を充実させることができる。その「行動」とは、『人間力』の強化と『自己成長』の実践である。
そして、その“道しるべ”となるのが、『インプット大全』である。
『インプット大全』はこれからの“道しるべ”
『インプット大全(以下、「本書」という)』とは、アウトプット力を高めるためのインプット術を、著者の経験・検証、ならびに、科学的根拠にもとづいてまとめた決定版である。本書の特徴を3つあげる。
特徴1
■AI時代・人生100年時代のインプット術
本書は、「ビジネス書」として、これからの時代に求められる人材を目指すためのインプットを紹介する。その人材とは、「生産性の高い人材」や「自らが考えて、積極的にインプットし、AIには考えがつかないようなアイデアを出すことができる、創造性の高い人材」をあげる。
一方、本書は、「人生100年時代」を見据えて、「健康」「コミュニケーション」「遊び」という、人生を幸せに生きるためのエッセンス、センスや直観力を磨くインプットも多く含む。
本書は『読む』『聞く』『見る』等のインプットのカテゴリーから、80種類をこえるインプット術を紹介する。これらの実践により、仕事で成功し、プライベートも充実させ、健康で楽しく生きる人間を目指すのだ。
特徴2
■情報化時代のインプット術
いま、われわれが接触する情報量は膨大であり、日々、加速している。したがって、本書は、情報の「質」と「精度」を重視し、かつ、必要な情報だけを集めることに徹底する。
さらに、情報のインプット前には、必ず「目標設定」を行い、インプットの精度を高めていく。つまり、従来型のインプット術では、脳に情報は入らず、忘れていくだけなのだ。
本書はインプットを再定義する。すなわち「『読む』『聞く』『見る』ことによって、情報を得て、それを記憶にとどめる」こと。インプットとは「脳内に情報が入って(IN)、情報が置かれる(PUT)」ことで、はじめてインプットといえるのだ。
特徴3
■アウトプットを前提としたインプット術
一般的に、情報をインプットする目的は「自分が理解できるレベル」である。しかしながら、本書は「他者に説明できる、教えることができるレベル」までを要求する。
この理由とは、すなわち、アウトプットを前提としたインプットを行うと、心理的プレッシャーがかかって緊張状態に陥り、脳内物質が分泌される。ここから、集中力、記憶力、思考力、判断力が高まり、記憶定着されるのだ。
われわれは『聞く』と『話す』をほぼ同時処理している。つまり、インプットとアウトプットは別のアクションではなく、表裏一体であり、切り離せないものである。この特徴を活かすことで、インプットの効率を高め、アウトプットを最大化するのだ。
以上の特徴から、本書には、時代の変化に適応するための「行動」に必要なインプット術がある。つまり、本書は、われわれがAI時代と人生100年時代を生きるための、“道しるべ”なのだ。
おわりに
本書を読むのは2回目である。1回目は、パラパラ読みから始め、通読した。そして今回、『インプット大全』感想キャンペーンに応募するにあたり、インプットの「目標設定」を“AI時代と人生100年時代を充実させる方法を知る”と決め、精読した。
また、アウトプットにおいては、「AI技術による産業革新のなか『人生100年時代』をどう生きるのか」と問題提起し、われわれには時代の変化に適応するための「行動」が必要と定義した。また、その「行動」とは『人間力』の強化と『自己成長』の実践と考えた。結論として、本書がその“道しるべ”となると述べた。
本書を読むにあたり、AI時代と人生100年時代を充実させるためのインプットには、楽しみながら実践できるものが多いと感じた。たとえば、自然、美術、映画、旅行、人間とのコミュニケーションのインプットである。
これまでは、本やセミナーなどから「知識」をインプットしてきたが、これからは「センス」を磨くものを積極的にインプットしていきたい。毎日、自分を少しずつよくしていきながら、これからの時代の変化に適応できる人間になっていきたい。
■参考図書
『人間さまお断り ~人工知能時代の経済と労働の手引き』(ジェリー・カプラン著、安原和見訳、三省堂、2016年)
『そろそろ、人工知能の真実を話そう』(ジャン=ガブリエル・ガナシア著、伊藤直子監訳、小林重裕他、早川書房、2017年)
『人生100年時代の稼ぎ方』(勝間和代・久保明彦・和田裕美著、アチーブメント出版、2019年)